2007年08月 アーカイブ

8月5日「朗読の夕べ―エスペラントの詩×日本の詩」

 8月4日から11日まで、横浜で開催される「世界エスペラント大会」の一環として、5日午後4時、「朗読の夕べ―エスペラントの詩×日本の詩」がZAIM別館で行われた。
 ZAIMとは、ZA(座)+IM(intermediary)の謂いで、旧関東財務局、旧労働基準局のふたつからなる空間に入ると、そこには、独特の開放的な風が吹いているのだった。そこで「朗読の夕べ」が開かれたのだが、ホールは満員。
 クロアチアの小説家、スポメンカ・シュティメッツさん、ハンガリーの詩人、イシュトヴァン・エルティル氏、谷川俊太郎氏の三人、そして北川久、臼井裕之、泉幸男の三氏が、エスペラント詩と谷川氏の詩を、それぞれエスペラントと日本語で朗読した後、鼎談というプログラムであった。
 エスペラントでは、その韻を味わい、日本語では、その意味を追いながら、ふたつのことばが交流していく時間は、まさに詩の時間だった。臼井裕之さんがエスペラントで、北川久さんが日本語で同時に朗読するウィリアム・オールドの「酔っ払い」は、臼井さんのパフォーマンスと相俟って、ひときわ会場を沸かせた。
 鼎談では、生誕120年の「若いことば」、エスペラントについて語られたが、
「世界」の捉え方が大きく変動しつつある現在、インターネットの普及などとともに、これからエスペラントを学ぶ人が増えていくのでは、と実感した。
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 下記サイトで、ウィリアム・オールド氏の「酔っ払い」の朗読を聴くことができます。
http://donh.best.vwh.net/Esperanto/Literaturo/Poezio/Ebrio.html


  *

 スコットランドの詩人、ウィリアム・オールド(1924―2006)の本邦初訳詩選集が、臼井裕之氏の清新な翻訳で刊行されました。自ら「エスペラントの民の詩人」と称していたウィリアム・オールドの「今日を生き抜いた」詩は、詩の世界に新鮮な風を吹き込んでくれることでしょう。
 そのなかから、冒頭の一篇を紹介します。

エスペラントを学ぼうとしない恋人に  ウィリアム・オールド(臼井裕之訳)

きみはエスペラントをやろうとしない
それでもいいさ 理由は分かっている
エスペラントがぼくの口を突いて出ると
きみはすっかりご機嫌斜め

そうさ そんなとききみが一瞬、息を呑むのを
ぼくが知らないとでも思っていたのか
きみはエスペラントに嫉妬しているのさ
半分ずつ 分け合わないといけないのだから

でも考えてごらん 些細なことに
執着してもしょうがない ザメンホフ先生の
模範文例集にでも 取り組む方がましさ

そうすれば きみは今よりいっそう人間らしくなる
ぼくに対立するのではなく 共感するようになる そして
何より ぼくの書いた詩を読めるようになる


  *模範例文集 1894年に第一版が出版された、ザメンホフが著した42課からなるエスペラント入門用の例文集

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本体2100円+税
 リニューアルに伴い紹介ページができるには少し時間がかかりますので、ご注文はメールあるいはFAX(048-466-5838)でお受けしています。

 なお、エスペラントについて詳しく知りたい人には、最近刊行された、田中克彦氏の『エスペラント』(岩波新書)をおすすめします。
また、現在発売中の「論座」9月号で、谷川俊太郎氏と田中克彦氏の対談「誕生120年 エスペラントが拓く世界」が掲載されています。どうぞ、ご一読を。