誌の雑誌 midnightpress 11号
注文する

 

2001年春 11号(2001年3月5日発売)

【主な内容 】
●詩作品 藤井貞和 豊原清明 大下さなえ 蟹澤奈穂 松原立子 田口犬男 根石吉久 「情事」柴田千晶    藤原龍一郎
●四行連詩〈七色〉の巻 木島始 塔野夏子
●対談 谷川俊太郎 正津勉 ゲスト 枡野浩一
●新連載 素顔の金子光晴 松本亮
●連載ほか 平居謙/清水鱗造/福間健二/井上輝夫/大澤恒保/瀬尾育生/ご隠居と八っつあんの現代詩談義
●ポエトリー・コミック 長谷邦夫
●詩の教室 高校生クラス 清水哲男/一般クラス 川崎洋
●詩の相談室 高取英
●コラム タケイリエ/萩原健次郎/ハルノ宵子/元山 舞/加藤千恵/くぼたのぞみ/根石吉久/松岡祥男
 
■表紙タイトル文字/谷川俊太郎
■表紙「父と娘」・目次・本文イラスト/永畑風人
■写真 野口賢一郎



企画から校正まで、編集にはいくつかの段階があるが、いちばん好きなのは、心が落ち着くのは、最後の校正をしている時間かもしれない。校正とは、いうまでもなく、組まれた文字などの誤りを正すことが第一義ではあるが、ある意味では、それ以上に、「書いたもの(作者)/書かれたもの(作品)」と一対一で向かいあう時間でもある。■たとえワープロ原稿であっても、それを書いたもの(作者)の息遣いは文体や行間から伝わってくる。そのときの作者の体調といったものまでが意外とリアルに伝わってくることもある。そうやって、「書いたもの/書かれたもの」と無言で一対一で向かいあう時間は悪くない。■そのうちに、いつしか、いくつかの「書いたもの/書かれたもの」を並べたり、積み重ねたりしていることがある。そこから見えてくるものがある。それは確実に校了後の、次なる段階への動線を導くものである。いわば、そこでは――最後の校正の段階では――、編集発行についてのいっさいが集中的に実践されているといえるだろう。■仕事を終えて、川沿いの道を帰途につくとき、そのような時間がきらいではないことに、あらためて気づくことがある。そして、この川沿いの道のように、遠近法のよくきいた、奥行きが感じられる誌面がつくれたら……と思うのである。もとより、それは編集子ひとりの力で実現できるものではない。執筆者や読者の方々、そしてスタッフとのコラボレーションもまたパースペクティヴへの契機となるだろう。■体調をくずされて前号休講された川崎洋氏の「詩の教室」が無事再開されました。そして、創刊号以来の瀬尾育生氏の連載はひとまず終了します。瀬尾さん、ありがとうございました。「ネズミの歌姫ヨゼフィーネのように、すばらしいアリアが同時にたんなる『ちゅうちゅう』でしかないように語られなければならないのである」というフレーズは、たいへんに示唆的ですね。また、今号から松本亮氏の「素顔の金子光晴」が開始される。ご期待ください。(岡田)