誌の雑誌 midnightpress 2号
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1998年冬 2号(1998年12月5日発行)

【主な内容 】
●詩作品 鈴木志郎康 小長谷清実 和合亮一 倉田良成 木野まり子 松元泰介 平林敏彦 正山千夏
●座談会 十代の言葉を考える 芹沢俊介 藤井東 松岡龍美
●十代の言葉を考える 「髪そめて、ピアスして」 渡辺玄英/「70年代の少女たち」 須永紀子
●新連載 詩の話―浅草にて 辻征夫
●ご隠居と八っつあんの現代詩談義
●田村隆一の詩と死 「詩の論理の死」 新倉俊一/「空白の歓び」 清水鱗造/「入学試験で春山行夫と答えた田村さん」 中上哲夫
●連詩「手まり歌の巻」  川崎洋 木坂涼 八木幹夫 島田陽子
●詩の教室 高校生クラス 清水哲男/一般クラス 川崎洋
●詩の相談室 高取英
●連載 福間健二/瀬尾育生河島英昭
コラム 奥村真根石吉久松岡祥男
「榛名まほろば」開店せり 富沢智


■表紙「銀河の家々」・目次・本文イラスト/永畑風人
■写真 野口賢一郎



「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」。田村隆一の、このよく知られた一行は、晩年近くに語られた、「腕を切ってごらん。『痛い』って言葉が出てくるだろう。だから、人間は本質的に言葉でできているんだ」という言葉を得て、さらに奥行きが与えられるようだ。■「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」――生きてあること、その水平性に対する認識と異和とが自覚されて書きしるされた一行。「おれは垂直的人間」、「おれは水平的人間にとどまることはできない」、「言葉のない世界を発見するのだ 言葉をつかって」。■なるほど、これは田村隆一に固有の回路かもしれない。だが――今号では「十代の言葉を考え」てみたが――、言葉の発生を考えるとき、多かれ少なかれ、この垂直的過程が踏まれているのではないか。ただ、その多くは無意識のうちになされていて、この垂直的過程を自覚的に生きることは容易なことではない。田村隆一の詩と死とが教えてくれたひとつに、この自覚があった。■その田村隆一氏の死と前後して、小誌は創刊された。「最後の詩集」と呼ばれた詩集『1999』についてインタヴューを、と考えていたこともあり、その訃報には驚かされた。田村氏の死がこれからの現代詩の視界に落とした影は大きい。次号は「1999」年2月末刊行。■創刊号には励ましのお便りをありがとうございました。    (岡田)