『silent flower』
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著者 宋元燮 島田明日香
(ソン ウォンスプ  しまだ あすか)
装丁 土田省三
発行 2007年2月20日
定価  
本体2500円+税
ISBN

ISBN978-4-434-10227-1 C0392 \2500E

判型 B5変型(182×182ミリ)128頁 上製
[収録詩篇]

I 
次の日 名残 デジャヴ あの夏 午後2時 バースデー 二人ぼっち ゆびきり 時々つたえにくい言葉 写真のないアルバムを開いて ウィスキーコーク 忘却 
II
silent flower レプリカ 缶蹴りの行方 ウソツキ 世紀末の詩人 遺言 夢の跡 柵 switch,the blue world 真夏の夜の夢 秋の夜長に目を閉じて peaceful 悲愴

III
旅情 夜明け前 隣で眠る君へ スズキ もどかしむ 
a Day 君の名前は 夢とか希望とか日常とか… 
夜明け前II

IV
MOMENT  どれくらい 片思い 歩道橋にて 心×距離=?
サヨナラ、ホームラン すれ違い 回り道 おまじない 微笑みの旅

【HP新刊紹介】より
 宋元燮さんのことばと島田明日香さんの写真とのコラボレーション『silent flower』は、独特の味わいをもっている。宋元燮さんのことばと島田明日香さんの写真が単に並んでいるのではなく、その紙面(平面)を垂直に走るものが感覚されるといえばいいのだろうか。はじめは一篇の詩と一葉の写真とのセッションかと思われるが、読み進めていくうちに、ひとつの大きなストーリーが、ことばと写真によって立ち上がってくるのである。



次の日


ピーピー泣き止まないケトルの音を

目覚まし代わりに起きるのも悪くはない

肩越しに時計を止める

ケトルには

三日間泣けず置き去りにされた水が濁っている



散らかり放題の部屋の隅から

引きこもりがちの灰皿を引っ張り出す

せっかちなせいかシケモクはどれも使えない

冷蔵庫のモーター音と同時に

ごみ収集車は走り去った

今日は燃えないゴミの日



湿った梅雨の空気の間から

窮屈そうに 1pだけ日差しが滑り込んでいる

その向こうの部屋は

まるで長い間 立ち入り禁止にでもなっていたようだ

枕もとの新聞は日曜日

ごみ収集車

燃えないゴミ

眠りについたのは本当に昨日なのだろうか



欠け落ちた時間

君のいない途中経過

その先の僕の全て

明日になれば全部分かる

今日 眠りにつけるなら…


 次の日