『至上の愛』
(AMAZING GRACE)
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著者 須永紀子(すなが のりこ)
装丁  
発行 2002年7月27日
定価  
本体1500円+税
ISBN 4-434-01978-3 C0092 \1500E
判型 A5変型判 / 76頁  ソフトカバー 糸かがり

[収録詩篇]
少年ケニヤ かきまぜられた場所 その朝 秋のちから 夫の記憶 約束 最後の記憶 早春の風 骨をまく夜 美しい週末 森の長い足 西日のあたる部屋 ザクロ 生きる力 そして今も 街への手紙  初出一覧 あとがき

[帯文章]
求愛のようなことばひとつで住み着いてしまった「あなた」を「まもる」、あるいは「まもられる」わたくしーー。わたくしの夢の続きを生きつづけて、「言葉たち」「愛たち」が十六篇の作品になった。澄みわたる須永紀子の詩境ーー。

 



秋のちから
須永紀子

それはいつも
未来から戻ってきたようにドアを開けた
鼻梁をつんとさせる大気がなだれこみ
窓の灯りを温かく
南瓜や芋を大きくした
わたしが見あげる前に
イチョウはレモン色になり
野の草は実を結んだ
きみをまもるために、とは言わないけれど
わたしを脅かさないように
ゆっくりと少しずつ
とても深いところから
ひきかえしてきたのだ