『半島』
(はんとう)
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著者 萱野原さよ(かやのはら さよ)
装丁  
発行 2001年10月30日
定価  
本体1800円+税
ISBN 4-434-01200-2 C0092 \1800E
判型 A5変型判 / 76頁 並製糸かがり

[収録詩篇]
輪舞 薔薇の初花きり 街路 揺らぎ 朝焼け 夜 公園 職人 鬼百合 ねずみ 神話 喪失 ミューズ 菫の花あなたに捧げれば 猫 廃墟 花入 対話 悲歌

[帯より]
繊細な感受性から紡ぎだされる言葉は時にしなやかで、時に奔放で、そしてなつかしい。知的なエスプリと無垢なロマンチシズムが混淆し、誰もが初めて出会う、言葉の輪舞が始まる。官能のエーテルが読者の神経を刺激して、言霊の熱量がたちのぼり、そこにはノスタルジックな未来の景色とイマジネーションにみちた過去の風景が優しく狂おしく浸蝕しあっている。(藤原龍一郎) 「栞」定型からの「離陸」(依田仁美)



薔薇の初花きり
萱野原 さよ

キャサリン・モーリー
私の庭の 居住者
いちばん陽のあたる 穏やかな朝
あなたはそんなにプライドたかく
不機嫌に
眉間に深く皺などを刻み
なんとも不可思議に
蒼ざめながら
内面から
突きあがる暴力的祭りの快感に
ひたすら耐えて
そしらぬふり
こんな素敵な 十一月の黄金のただなか
憂鬱気質な 自転車ひたすらこいで
時間の認識のよそにまで
狂暴な熱情にかられ
逃亡をこころみた
若い雌 夢みがちな
黒豹の桃色
美しい内臓に微笑を贈り