「井上輝夫を偲ぶ会」ご案内

 

日時   平成27年12月11日(金曜日)午後6時〜8時

会場     慶應義塾大学三田キャンパス 南校舎4階「ザ・カフェテリア」

    http://www.keio.ac.jp/ja/access/mita.html#prg2

会費   6000円

 

発起人  鳥居泰彦    飯吉厚夫  鈴木孝夫   坂上 弘    辻原 登   八木幹夫    吉増剛造  沓掛良彦   田中淳一  山口佳巳

     立仙順朗    井上孝雄      伊藤行雄     加藤宗哉  徳田英幸   國枝孝弘  富山優一    石黒敦子

(世話人)  鷲見洋一  柳谷啓子    赤田康和     上田千尋  木村竜太 中村剛彦

 

香典・供花の儀はご辞退申しあげます。当日は平服でおこしください。

 

事務局  世田谷区千歳台4−26–2–1002 (木俣 章)

電話   03~3484~5016 メール kimas@jcom.zaq.ne.jp

 

 

訃報

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井上輝夫(いのうえ てるお)氏

詩人、フランス文学者。1940年1月1日、兵庫県西宮市夙川生まれ。2015年8月25日、特発性肺線維症で死去。告別式は、近親者で営んだ。喪主は長女・井上摩耶さん。後日、「しのぶ会」を開催する予定。

 

 

【小説家・辻原登さんの談話】

井上輝夫さんが逝った。本当の意味での詩的日本語の求道者であった。

何てことだ!我々が井上さんに託したことは、ボードレールの歌の精髄を究めることと、日本の詩歌の再検証だった。それが花開いた、その矢先のことだ。

 

【詩人・八木幹夫さんの談話】

『青い水の哀歌』に流れる宇宙的なシンフォニーに耳をかたむけることが井上輝夫を真に追悼することになるのではないか。今度のこの詩集には井上氏が命がけで現代社会に残したメッセージが込められています。井上氏の優れたところは、現実的には実務的なことが的確にできる能力と混沌を抱え込む詩的宇宙を同時に持っている人物です。

 素晴らしい詩人を喪ったという思いが強い。

 

【詩人としての業績】

慶應義塾大学文学部フランス文学科卒。同大在学中から詩人吉増剛造氏、詩人岡田隆彦氏らと詩誌『ドラムカン』(1962〜69)を発行。詩誌『三田詩人』でも活躍。詩人・評論家大岡信氏、詩人飯島耕一氏に高い評価を受け、60年代を代表する詩人のひとりとして、脚光を浴びる。

フランス政府給費留学生としてニース大学に留学。ボードレール研究で博士号取得。

1975年の第1詩集『旅の薔薇窓』でH氏賞候補に。東洋と西洋の文学・思想を渉猟する疾走感のある作風は「ランボー的なあるいは透谷的な魂魄」と吉増氏に評された。80年に発表した詩集『秋に捧げる十五の盃』は詩人・フランス文学者の入澤康夫氏が「苦味ある洗練、鍛冶された男の感性」と評した。里山に隠棲しながら書きつづった2005年発表の詩集『冬 ふみわけて』など後期の作品は、軽やかな筆致で人間存在への深い洞察と鋭い文明批評を展開し、大岡氏は「現代日本の隠者」と評価した。

随筆集『詩想の泉をもとめて』で日本詩人クラブ詩界賞を受けたほか、詩人・西脇順三郎の研究、ボードレール、リラダンら近現代フランス文学の翻訳でも業績を残した。

 

 

【大学人としての業績】

慶應義塾大学経済学部教授を経て、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の新設に参画し、1990年同キャンパス総合政策学部教授に就任。1999年慶應義塾ニューヨーク学院長に就任し、2001年9月11日の米国同時多発テロ事件で生徒の安全確保などで陣頭指揮を執る。慶應義塾大学を退職後、2003年中部大学人文学部教授に就任、人文学部長などを歴任。慶應義塾大名誉教授・中部大学名誉教授。

 

 

【主な著作】

 

○詩集

『旅の薔薇窓』 書肆山田 1975 (→ミッドナイト・プレス「詩の図書館」 『旅の薔薇窓』抄

『夢と抒情と』 思潮社 1979

『秋に捧げる十五の盃』 書肆山田 1980

『冬 ふみわけて』 ミッドナイト・プレス 2005

『青い水の哀歌』ミッドナイト・プレス 2015

○随筆など

『ボードレールにおける陶酔の詩学』 フランス図書 1977

『聖シメオンの木菟 -シリア・レバノン紀行-』 国書刊行会 1977

『詩想の泉をもとめて』慶應義塾大学出版会 2011 (第12回 日本詩人クラブ詩界賞)

○訳書

マルセル A.リュフ『流謫者ボードレール : 生涯と作品』 青銅社 1977

イグナシオ・ラモネ 『21世紀の戦争 : 「世界化」の憂鬱な顔』  以文社 2004

ヴィリエ・ド・リラダン 『最後の宴の客』 国書刊行会 2012

『千夜一夜物語 : ガラン版』 国書刊行会 2013

◯共著共訳など

『ユトリロと古きよきパリ』 新潮社 1985 (共著)

『ジャン・コクトー全集. 第2巻』「鎮魂歌」 東京創元社 1981.

『詞華集』フランス世紀末文学叢書 国書刊行会 1985 (共訳)

『フランス幻想文学傑作選2』 シャルル・ボードレール「二重の部屋・鷹揚な賭博者」 白水社1983

『定本西脇順三郎全集 別巻』「西脇順三郎とボードレール」 筑摩書房 1994

『ボードレールと私』西脇順三郎 講談社文芸文庫 2005(解説)

『西脇順三郎コレクション. 第1巻(詩集1)』解説 慶應義塾大学出版会 2007

 など多数

 

 

(2015年8月28日)

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