季刊『詩の雑誌 midnight press』創刊の辞
ひとつの世紀が――二十世紀が――暮れようとしている。
わたしたちは、いま、終わりを生きつつ、始まりを生きようとしているのだろうか。かつて、十九世紀末がそうであったように。
だが、わたしたちは知っている。一九世紀末にはみられた生の哲学、生命の力への憧れが、この世紀末にはみられないことを。
あるいは、なにかが始まろうとしているのかもしれない。けれども、それがなんであるのか明らかにする言葉をわたしたちはいまだに持つことができずにいる。ただ、判断を遅らせているだけなのかもしれないが。
そして、いま、詩もまた昏れようとしているのだろうか。世界の停滞と見合うかのように、いま、詩は沈停している。
21世紀の黄昏と、詩の黄昏とが重なり合うかのようにみえるのは偶然なのだろうか、必然なのだろうか。ただ、ここに、詩の詩たる理由を見出すこともできるのだ。言葉と相対するということは、すなわち世界と相対するということなのだから。
なるほど、いまのわたしたちは憧れを持たないかもしれない。だが、この黄昏の季にあって、いまだみえざる彼岸へ向けて、詩の橋を架けてみようと試みることもむなしいことではないだろう。オプティミズムではない、ポジティヴな選択肢のひとつとして。
ミッドナイト・プレス
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